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肺疾患:慢性閉塞性肺疾患に関連する遺伝子座は肺機能および肺線維症の関連座位と重複する
Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3752
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は世界規模で主要な死亡原因の1つである。1万5,256のCOPD症例および4万7,936の対照における遺伝的な関連解析を行い、さらに、上位のスコアの座位を選択して(P < 5 × 10−6)、9,498の症例および9,748の対照に対して再現性解析を行った。これらを合算したメタ解析の結果、ゲノムワイドな有意性でCOPDへの関連を示す22の座位を同定した。このうち13は、COPDへの関連が新たに明らかになった座位である。これら13座位のうち9座位は、一般集団試料において肺機能との関連が明らかになっているが、4座位(EEFSEC、DSP、MTCL1、SFTPD)は新たに判明した座位である。ここで、2つの座位(FAM13A、DSP)は肺線維症にも関連するが、そのリスク対立遺伝子はCOPDの発症に対しては防御的に働くことが判明した。今回特定した座位はいずれも、喘息に対するゲノムワイドな関連を示さなかったが、1カ所の座位は、肥満を伴う場合の喘息への易罹患性に関連することが報告されている。さらに、COPDと喘息の間の遺伝的相関も確認された。今回の結果によって、新たなCOPD関連部位が明らかになり、肺機能の特定の関連座位がCOPDに重要であることが示され、COPDとそれ以外の呼吸器疾患とで遺伝的に重複する可能性のあるゲノム領域が同定された。