Analysis

症例対照研究:疾患の家族歴を代理使用する症例対照関連マッピング

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3766

症例と対照を用いる遺伝的関連研究を行う際には、症例を集めることに時間や費用を要しがちである。状況によって(遅発性の疾患や迅速に死に至る疾患の研究などの場合)、症例の家系構成員を集めることがより実用的なことがある。ランダムな確認に基づくコホートにおいて、症例をその第一度近親者に置き換えることにより、そのコホートに存在しない(あるいは、ほぼ存在しない)疾患の研究が可能になる。我々は、この手法を用いた関連研究をGWAX(genome-wide association study by proxy)と名付け、UK Biobankの11万6,196人における12の一般的疾患に適用した。報告されたゲノムワイド関連研究の要約統計量を用いたメタ解析により、確立されたリスク座位の再現性を確認するとともに、アルツハイマー病と関連する4座位、冠動脈疾患と関連する8座位、2型糖尿病と関連する5座位を新たに明らかにした。この方法を用いれば、疾患の生物学的性質についての情報を得ることができるだけでなく、直接症例を検討しない関連マッピングの有用性にも優れていることが、今回の研究で実証できた。我々は今後GWAXが、大規模集団コホートを用いた複雑な形質の遺伝学的研究において有用であることが実証されていくことを期待している。

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