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クロマチン:マウスの胚性幹細胞および神経前駆細胞での単一対立遺伝子性のDNA接近性の全体像

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3769

我々は、対立遺伝子特異的なATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin with high-throughput sequencing:トランスポザーゼ接近可能クロマチンのハイスループット配列決定)法を開発し、活性な調節性DNAの遺伝子型とプロファイルをゲノム規模で明らかにした。マウスのF1雑種系を用いることで、常染色体全体にわたる単一対立遺伝子性のDNA接近性が、発生段階によりプログラムされたいくつかのパターンで広く見られることが分かった。遺伝学的に決定された接近性は遠位エンハンサーに豊富に見られたが、RAMA(random monoallelically accessible)配列はプロモーターに豊富に存在し、単一対立遺伝子性のmRNA発現のゲートキーパーとして機能していると考えられた。RAMA配列での対立遺伝子の選択は細胞の世代にわたって安定していて、細胞分裂を通じて標識が維持されていた。神経前駆細胞でのRAMA配列は、胚性幹細胞では両対立遺伝子性に接近可能であったが、バイバレントなヒストン修飾によってあらかじめ標識されていた。つまり、一方の対立遺伝子は分化の過程で抑制されていた。定量的解析から、RAMA配列の大部分での対立遺伝子の選択は確率論的過程に一致することが分かった。しかし、RAMA配列の最大30%が予測されたパターンから外れることから、調節機構あるいは計数機構が存在することが考えられる。

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