Analysis

テロメア:31種類のがんにおけるテロメア長と体細胞変異の網羅的解析

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3781

がん細胞は、テロメアを維持する機構を介して細胞としての危機を免れている。本論文では、31種類のがん由来腫瘍検体および非腫瘍性検体を含む1万8,430検体のテロメア長について報告する。テロメアは腫瘍において正常組織に比して短く、肉腫や神経膠腫においてはこれ以外のがんでよりも長かった。6,835のがん検体のうち73%においては、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)の発現が見られた。このグループでは、TERTの点変異、染色体再編成、DNA増幅、転写産物融合を伴っており、テロメラーゼ活性が予測可能であった。また、TERT発現の脱制御は、TERTプロモーター領域のメチル化によっても起こることが分かった。がん検体の5%においては、テロメア長が伸長し、TERRA(テロメア反復配列含有RNA)が増量していたが、これらはTERT発現が検出限界以下であることとATRXDAXXに変異が生じているという特徴を有していた。腫瘍の残り22%では、TERTが発現しておらず、またATRXDAXXにも変異は生じていなかった。このグループでは、テロメア長はTP53およびRB1の変異に正に相関していた。今回の研究によって、がんにおけるTERTの異常、テロメラーゼ活性、ゲノム変化の解析にテロメア長を組み込むことができた。

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