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肺疾患:肺機能および慢性閉塞性肺疾患のゲノムワイド関連解析により新たな疾患座位と新薬開発の分子標的を同定

Nature Genetics 49, 3 doi: 10.1038/ng.3787

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺機能の低下を特徴とし、世界規模での死亡原因の第3位を占めている。今回、UK Biobank参加者の中から肺機能分布の極値をもとに選んだ4万8,943人に対するゲノムワイド関連解析の発見解析、さらに9万5,375人に対するフォローアップ解析を行い、肺機能に関連する独立したシグナルの数を54から97に増加させた。ここで、遺伝的リスクスコアはCOPDに対する感受性と関連する〔リスクスコアの1SDあたり(約6対立遺伝子)のオッズ比(95%信頼区間)= 1.24(1.20-1.27)、P = 5.05 × 10−49〕。また、UK Biobankにおける遺伝的リスクスコアの十分位数の最も高いグループと最も低いグループの間では、COPDリスクに3.7倍の違いを認めた。97のシグナルの多くは、発生、弾性線維、エピジェネティックな調節経路の構成遺伝子に見つかった。本論文ではまた、COPDや喘息の治療薬および開発中の化合物の分子標的(イノシトールリン酸代謝経路の構成遺伝子とCHRM3)を明らかにするとともに、別な臨床症状に対する新たな薬効を持つ既存薬探索における標的の特徴について述べた。

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