Analysis

自閉症スペクトラム障害:集団の参照試料を用いて神経発達障害におけるde novoのタンパク質短縮型バリアントの役割を詳細に解析する

Nature Genetics 49, 4 doi: 10.1038/ng.3789

最近の研究により、神経発達障害におけるde novoの遺伝学的バリエーションが重要な役割を持つことが明らかになっている。自閉症スペクトラム障害、知的障害、あるいは発達遅延が見られる9,246家系の収集データを調べた結果、de novoバリアントの約1/3は、60,706人の成人からなるExAC(Exome Aggregation Consortium)のコホートに維持されている多様性とは独立した存在であること、また、これらのde novoバリアントは神経発達障害のリスクに寄与しないことが分かった。さらにloss-of-function(LoF)-intolerance〔pLI:LoF(機能喪失)非許容〕という評価基準を用いて、LoF非許容性遺伝子のサブセットを明らかにした。すなわち、これらの遺伝子は神経発達障害において、de novoタンパク質短縮型バリアント(PTV)関連シグナルを含んでいるものである。LoF非許容性遺伝子には、遺伝的に受け継がれたPTVがde novo PTVより少し多く存在するが、影響力の大きいde novo疾患遺伝子には遺伝的に受け継がれたPTVはほとんど存在しないことから、遺伝的に受け継がれるリスクの多くは浸透度の低い遺伝子に存在すると考えられる。これらの知見は、候補となる病因バリアントの解釈、さらに複雑な疾患やde novoバリエーションの解析においても、集団を基盤とする参照コホートが重要であることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度