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DNA複製:DONSON変異は複製フォークの安定性を失わせ、小頭性小人症を引き起こす
Nature Genetics 49, 4 doi: 10.1038/ng.3790
効率的なゲノム複製を確実に行うために、細胞はDNA複製をつつがなく進行させ、損傷が生じた複製フォークを保護して修復し、複製を再び開始させるための、おびただしい数の因子を作り出している。本論文ではDONSON(downstream neighbor of SON)を、これまで明らかになっていなかったフォーク保護因子として同定し、小頭性小人症患者29例に認められる両対立遺伝子性DONSON変異について報告する。まず、DONSONが、ゲノム複製に際して複製フォークを安定化している、レプリソーム構成タンパク質の1つであることを明らかにした。DONSONが失われると、複製に伴う重篤なDNA損傷が引き起こされ、これは停止した複製フォークのDNA鎖切断に起因するものであった。また、DONSON欠損細胞では、複製時ストレス応答におけるATM-and Rad3-related(ATR)依存性シグナル伝達が正常に機能せず、結果的にDNA損傷チェックポイント機構の活性が低下し、クロマチンの不安定性が増強していた。DONSONのハイポモルフ(機能低下型)変異によって、DONSONタンパク質の量は大幅に減少し、患者由来の細胞では複製フォークの安定性が損なわれた。この結果は、DNAの複製不全が疾患の病型の根拠であることと矛盾しない。要約すると、今回、DONSONの変異を小頭性小人症に共通する原因として特定し、DONSONが、哺乳類のDNA複製およびゲノム安定性に必須の、極めて重要な複製フォークタンパク質であることを明らかにした。