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エピジェネティクス:ショウジョウバエ(Drosophila)のクロマチン状態は複数世代にわたり安定してポリコーム依存的に継承される
Nature Genetics 49, 6 doi: 10.1038/ng.3848
複数世代にわたるエピジェネティックな継承(TEI)とは、複数の世代にわたって同一ゲノムDNA配列の存在によって選択的な機能状態が伝えられることとされる。このタイプの継承を支配する原理や分子機構についてはほとんど明らかになっていない。本論文では、3Dでのクロマチン相互作用を一過性に高めることによって、選択的エピアレル〔ヒストンH3 Lys27のポリコーム依存性のトリメチル化(H3K27me3が形成される)のレベルが異なることで定義される〕を持つ、同遺伝子型で安定したショウジョウバエ(Drosophila)のエピ系統を確立した。系統確立後に、エピアレルはナイーブ型のハエに優性遺伝的に伝わり、パラ変異を誘導できる。エピ系統は、クロマチンの相互作用を破壊することにより、ナイーブ状態にリセットできることは重要である。さらに、環境変化がエピアレルの表現度を調節することが分かり、自然に生じる表現型に我々のパラダイムを拡大することができた。我々の研究は、核の構成とポリコーム群(PcG)タンパク質が、エピジェネティックに継承可能な表現型を変化させる仕組みについて明らかにしている。