Article

ヘテロクロマチン:アカパンカビ(Neurospora)においてDNA配列の相同性がヘテロクロマチン関連経路を通してシトシンからチミンへの変異を誘導する

Nature Genetics 49, 6 doi: 10.1038/ng.3857

ほとんどの真核生物ゲノムは、構成的ヘテロクロマチンの形に編成された相当量の反復配列DNAを含んでおり、これらは、H3K9me3やC5シトシンメチル化(5mC)などの抑制性のエピジェネティック修飾に関連している。真菌であるアカパンカビ(Neurospora crassa)では、保存されたSUV39ヒストンメチルトランスフェラーゼのDIM-5によりH3K9me3が触媒され、DNMT1様シトシンメチルトランスフェラーゼのDIM-2により5mCが触媒される。本論文ではDIM-2が、アカパンカビの反復配列DNAのRIP(repeat-induced point mutation)の仲介も行えることを示す。さらに、DIM-2依存性RIPには、DIM-5、HP1、および他の既知のヘテロクロマチン因子群が必要なことが分かり、反復配列誘導性のヘテロクロマチン関連過程の役割が示された。我々のこれまでの知見から、RIPの反復配列認識機構には、二本鎖DNA(dsDNA)の相同な部分間の直接的相互作用が関わっていると考えられる。従って、今回我々は、体細胞において、少数の反復配列コピー間での相同なdsDNA–dsDNA相互作用が一過性のヘテロクロマチン状態の核となりうること、これが、反復配列がより長く並んでいる場所において構成的ヘテロクロマチン形成につながる可能性があることを提案する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度