Analysis

膵管腺がん:膵管腺がんに頻発する非コード調節性変異

Nature Genetics 49, 6 doi: 10.1038/ng.3861

コードDNAの変異が腫瘍形成に果たす役割はかなりよく知られているが、非コードDNAの体細胞変異の働きについてはほとんど分かっていない。本論文では、GECCO(Genomic Enrichment Computational Clustering Operation)を用いて、膵管腺がん(PDA)の308例において、非コードDNAの体細胞における変化を解析し、変異が一般的に見られる調節性領域を同定したので報告する。頻発する非コード変異は、軸索ガイダンスや細胞接着などのPDA経路、および転写やホメオボックス遺伝子などに関する新たに見つかった過程に豊富に見られることが分かった。我々は、近位遺伝子の発現の差違に相関するタンパク質結合部位の変異を明らかにし、また、変異が発現に及ぼす影響を実験的に評価した。さらに、各種の調節配列による遺伝子調節の強度を定量化する発現調節スコアを開発して解析した結果、最も強度の大きい配列が最も高頻度に変異していることを見いだしたので、選択の有利性が示唆された。非コード変化についての高精細な単一がん解析から、調節性変異が診断および予後のマーカー候補であることが明らかになり、また、腫瘍進化における新しい機構についての示唆が得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度