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関節リウマチ:複数の遺伝因子の積み重なりが細胞特異的経路の活性化を介して関節リウマチ発症につながる

Nature Genetics 49, 7 doi: 10.1038/ng.3885

最近の知見から、多因子疾患のリスク対立遺伝子のかなりの割合が細胞特異的に遺伝子発現を制御すると考えられている。多因子免疫疾患の原因と考えられる候補遺伝子や生物学的経路を明らかにするために、105人の健康な日本人ボランティアから回収した、免疫細胞の5つのサブセット〔CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球〕および未分画末梢血について、発現量的形質座位(eQTL)解析を行った。我々は、(i)我々のeQTLデータベースと公共のエピゲノムデータを用いて個々の遺伝子発現を予測する、(ii)遺伝子レベルの関連解析を行う、(iii)eQTL効果の方向を考慮した上で細胞特異的経路の活性を予測する、という3段階からなる解析パイプラインを開発した。このパイプラインを関節リウマチデータセットに適用し、疾患の原因となる候補遺伝子群とサイトカイン経路〔CD4+ T細胞での腫瘍壊死因子(TNF)シグナル経路の活性化〕を突き止めた。我々の手法は、複数の遺伝子因子の積み重なりが、どのような生物学的メカニズムを介して、多因子疾患の発症に寄与しているかを明らかにするための効率的な方法である。

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