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エピジェネティック修飾薬:NMTおよびHDACの阻害剤は長い末端反復配列(LTR)にコードされる潜在的な転写開始部位を誘発する
Nature Genetics 49, 7 doi: 10.1038/ng.3889
DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(DNMTi)やヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)の作用機構は、主に候補遺伝子アプローチを用いて、いくつか提案されている。だが、そうした阻害剤がゲノム全体の転写やエピジェネティクスに及ぼす影響についてはよく分かっていない。本論文では、転写開始部位(TSS)およびクロマチン動態をゲノム全域的にマッピングすることにより、DNMTiやHDACi投与後に、潜在的な転写部位として数千もの「注釈付けされていないTSS(TINAT:treatment-induced non-annotated TSS)」からの投与誘導性の転写が起こることを観察したので報告する。結果として生じた転写産物はタンパク質をコードするエキソンにスプライシングされることが多く、短縮型あるいはキメラ型のORFをコードして、異常な機能あるいは免疫原性の機能が予測される産物に翻訳された。DNMTi投与後のTINATの転写は、DNA低メチル化および古典的なプロモーターのヒストン標識の獲得と一致したが、一方HDACi投与後にはH2AK9ac、H3K14ac、H3K23acと関連するTINATサブセットを特異的に誘導した。このような機構の違いがあるにもかかわらず、両阻害剤は収斂的に同一部位からの転写を誘導した。また、TINATはERV9/LTR12ファミリーの単独型の長い末端反復配列にコードされており、ほぼ全ての正常細胞でエピジェネティックに抑制されていることが分かった。