Analysis

精密医療:英国バイオバンクの日常的健康管理データの木構造に関する遺伝的関連のベイズ解析

Nature Genetics 49, 9 doi: 10.1038/ng.3926

日常的に得られる健康管理データから抽出可能な多数の表現型に基づく遺伝学的発見は、ヒトのフェノームについての理解を大きく変貌させ、精密医療(プレシジョンメディシン)への道を加速させ得るものである。しかしながら、高次元で不均一なデータを解析する際には大きな課題が残っており、それは、遺伝的な相関を検出するための統計上の検定力を保ちつつ、増加する個々の表現型サブタイプをいかに最適に抽出するかという問題である。今回我々は、診断分類の木構造(階層構造)を利用したベイズ解析フレームワークを開発し、自己報告や英国の病院データ(HES:hospital episode statistics)に基づく英国バイオバンクの疾患の表現型に対して、遺伝的変異を解析するのに用いた。我々の手法は、既存のヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子と一般的な免疫介在性疾患(IMD)との新しい関連を同定する方法として、他のアプローチに比べて、遺伝的影響の統計的検出力で20%以上の増加を示している。この手法を遺伝的リスクスコア(GRS)の判定に適用することにより、我々は、IMD(免疫介在性疾患)間に見られる遺伝子の共有度の程度を示した。また、潜在的な臨床上の意義とともに、疾患認識や診断にもたらす差を明らかにしている。

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