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前立腺がん:TMPRSS2 –ERG融合は原発性前立腺がんにおいてマスター転写因子を転用してNOTCHシグナル伝達を活性化する
Nature Genetics 49, 9 doi: 10.1038/ng.3930
TMPRSS2 –ERG(T2E)構造再編成は前立腺腫瘍の約50%の特徴であり、ERG転写因子の過剰発現を引き起こす。本論文では、クロマチン、ゲノム、およびの発現データを用いて、T2E陽性と非T2Eの原発性前立腺腫瘍の間で、シス調節配列の全体像データの特徴が異なることを示す。このシス調節配列には、調節配列のクラスター(CORE)も含まれている。T2Eの有無は、ERGがHOXB13やFOXA1を転用することに影響されて、T2E特異的転写プロファイルをもたらすことになる。また、構造的に再編成されたERG座位のT2E特異的COREは、TMPRSS2座位の既存のCOREの拡大から生じており、その過剰発現に役立つことも報告する。さらに、T2E特異的なシス調節性配列の全体像データがNOTCH経路に対する脆弱性の基礎となることが分かった。実際に、NOTCH経路を阻害すると、T2E陽性前立腺がん細胞の増殖や浸潤が減弱した。総合すると我々の研究は、過剰発現したERGはマスター転写因子を転用して、独特のシス調節性配列の全体像データをもたらし、T2E陽性前立腺腫瘍にNOTCHシグナル伝達へのドラッガブルな依存性を誘導していることを示している。