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p53変異:ヒトがんにおいてTP53変異の変異過程により形成される変異シグネチャー

Nature Genetics 50, 10 doi: 10.1038/s41588-018-0204-y

大部分のがん抑制遺伝子とは異なり、腫瘍タンパク質p53(TP53)に最も高頻度で生じる遺伝子変異はミスセンス変異である。変異型p53タンパク質は多くの場合、がんにおいて多量に発現しており、また、特定の対立遺伝子による変異体を実験モデルで解析すると、ドミナントネガティブ効果、もしくは機能獲得型の活性を示す。p53の機能を系統的に明らかにするために、何百ものヒトがん細胞株に対して機能喪失スクリーニングを行い、さらに、TP53野生型とヌル型の細胞株の同質遺伝子系統ペアにおいてTP53の飽和変異誘発スクリーニングを行った。その結果、野生型p53の機能欠損あるいはドミナントネガティブ阻害が起こることで、細胞の適応度(増殖能や生存能)が確実に亢進されることを見いだした。このデータをCOSMIC(Catalog of Somatic Mutations in Cancer)変異シグネチャーデータベースに統合して、広範なTP53変異を表現できる統計モデルを考案した。このモデルでは、各変異を獲得するベースライン確率と、p53活性の減少によりもたらされた適応度の高まりの関数として、変異スペクトルを表す。まとめると、今回得られた知見から、広範に作用する変異過程と組織特異的に作用する変異過程を表現型選択と組み合わせることで、繰り返し出現するTP53変異の頻度が決定できることが明らかになった。

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