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大腸がん:大腸がんにおいて頻発する非コード領域の変異をプロモーターキャプチャーHi-C法により同定
Nature Genetics 50, 10 doi: 10.1038/s41588-018-0211-z
がんのドライバー変異を同定するために、ゲノムの非コード領域を系統的に解析する取り組みが行われている。そのような変異が探索されるゲノムの非コード領域の中でも、シス調節配列(CRE)は非常に数が多い。本研究では大腸がん細胞株における発現調節の全貌をカタログ化するために、1万9023のプロモーターDNA断片にハイスループットな染色体コンホメーション捕捉(Hi-C)法を適用し、CREのマッピングを行って、Cancer Genome Atlasの全ゲノム塩基配列および発現データと統合した。その結果、変異が頻発するCREの1つが、ETV1遺伝子のプロモーターと相互作用して、その発現に影響を及ぼすことが分かった。ETV1の発現は細胞生存率に影響を与え、患者の生存率との関連が見いだされた。我々はさらに、RASL11Aが以前に同定されたエンハンサー増幅の標的となることを実証し、コピー数多様性が持つ調節効果に関する理解を深めた。本研究は、発がんの引き金になる複雑な遺伝的変化に新たな知見をもたらし、がんの生物学に関連する非コード領域のCREを染色体コンホメーション捕捉法によって同定する際の範例となるものである。