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集団遺伝学:サルデーニャ島住民のゲノム史

Nature Genetics 50, 10 doi: 10.1038/s41588-018-0215-8

地中海に位置するサルデーニャ島の住民は、複雑疾患形質に関するゲノムワイド関連解析に重要な貢献を果たしてきた。また、ヨーロッパ本土の古代DNA研究に基づき、サルデーニャ島は新石器時代初期の祖先にとって主要な退避地であったとの仮説が立てられている。この重要な集団のゲノムの歴史的変遷について新たな知見を得るために、3514人のサルデーニャ島住民の全ゲノム塩基配列を解析した。サルデーニャ人(特に島内でも歴史的に隔離されてきた地域の住民)は、バスク地方の住民と高いレベルで祖先を共有していた。また、本土の古代DNA試料との遺伝学的類似性のレベルは、島内の地域によって少しずつ異なることが分かった。本研究の結果を総合すると、サルデーニャ人のゲノム史には、島内の亜集団構成および男女で異なるプロセスが大きく影響してきたことが示唆される。これらの結果は、サルデーニャ人祖先の人口統計学に新たな知見をもたらし、さらにサルデーニャ島住民と本土の住民に共有される疾患リスク対立遺伝子に関する理解を助けるものである。

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