Letter

酵母:酵母の熱耐性で見られる種間差異に関する遺伝学的解析

Nature Genetics 50, 11 doi: 10.1038/s41588-018-0243-4

自然界におけるユニークな生き残り戦略のいくつかは、生殖的隔離を経た生物種に固定されている。今まで、このような太古からの適応を分子レベルで解明することには限界があった。というのは、従来の実験遺伝学的解析は、生物集団中における繁殖可能な個体のみを対象にしてきたからである。今回、不稔性の種間雑種の変異株をスクリーニングするという新たなマッピング法を用いることにより、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeが近縁種のSaccharomyces paradoxusよりも、高温下で増殖できることの原因に関係する8つのハウスキーピング遺伝子を同定した。マッピングされたこれらの座位に存在する熱耐性対立遺伝子は、S. cerevisiaeで観察される適応形質に必須であり、S. paradoxusにおけるその形質の部分的再現に十分であった。新たに明らかになったストーリーは、S. cerevisiaeが選択圧に応じて、生育に必須な基本的過程のいくつかの要素について熱抵抗性を向上させたというものである。今回の研究成果は、さまざまな真核生物の姉妹種のクレードにおける、遺伝子型-表現型マッピングの基礎となるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度