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結核菌:多剤耐性および超多剤耐性結核菌のゲノムワイド解析
Nature Genetics 50, 2 doi: 10.1038/s41588-017-0029-0
抗結核薬耐性の遺伝学的決定因子を明らかにする目的で、30か国以上から得られた6465株の結核菌(Mycobacterium tuberculosis)臨床分離株のゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。混合回帰モデルを用いたGWASの後、それぞれの変異について系統学的な検討を行った。既知の確立された、あるいは近年報告された耐性関連遺伝子の変異に加えて、シクロセリン、エチオナミド、パラアミノサリチル酸に対する耐性に関連する新規変異が同定された。エチオナミド、ピラジナミド、カプレオマイシン、シクロセリン、パラアミノサリチル酸に対する耐性関連変異を検出する能力は、挿入および欠失を含めて解析することにより向上した。候補遺伝子内の変異のオッズ比は、耐性のレベルを反映していることが分かった。また、耐性関連候補遺伝子間のエピスタシス関係が新たに同定された。さらに、排出ポンプ(drrAおよびRv2688c)が耐性の出現に関与していることも示唆された。本研究で得られた知見は、新しい診断検査の開発に役立つとともに、耐性および代償的なエピスタシス機構の研究を促進するものである。