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ゲノムトポロジー:転写因子は細胞の再プログラム化過程でゲノムのトポロジーと遺伝子調節の間の動的な相互作用を調整する

Nature Genetics 50, 2 doi: 10.1038/s41588-017-0030-7

染色体構造は遺伝子発現に影響を及ぼすことが知られているが、細胞運命の制御における役割はほとんど解明されていない。転写因子(TF)のOCT4、SOX2、KLF4、MYCによる体細胞の多能性幹細胞(PSC)への再プログラム化は、この疑問に取り組む良い題材になるが、応答する細胞の割合が低いため、解析は大きく制限される。最近我々は、体細胞からPSCへと細胞を同調的に変換させることのできる、非常に効率的な再プログラム化プロトコルを開発した。本論文では、この系を用いて、ゲノムトポロジーの時間分解変化を、遺伝子発現、TF結合、およびクロマチン状態の動態に統合した。その結果から、TFは、多数の構造レベルでゲノムのトポロジカルな再編成を引き起こし、多くの場合、それが遺伝子発現の変化が起こる前に起こることが分かった。再プログラム化の過程で、多能性遺伝子が同時にではなく連続して活性化される理由は、座位特異的にトポロジカルな障壁が除去されることで説明できる。以上のことから、我々の結果は、哺乳類においてはゲノムのトポロジーが、転写プログラムや細胞運命を実行するための指導的な作用をすることを示している。

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