Article

神経芽細胞腫:神経芽細胞腫ではMYCNのエンハンサーへの侵入がMYCN依存性の転写増幅を形作る

Nature Genetics 50, 4 doi: 10.1038/s41588-018-0044-9

発がん性転写因子MYCNをコードする座位の増幅は、高リスク神経芽細胞腫を定義する特徴である。本論文では、神経芽細胞腫におけるMYCN撹乱についてのクロマチンおよび転写の動的全体像を初めて示す。発がんレベルのMYCNは、親和性依存的にEボックス結合モチーフに結合する。MYCNは、プロモーターでは、強力なカノニカルEボックスに結合し、エンハンサーでは、クラスターを形成して豊富に存在する弱い非カノニカルEボックスに侵入した。MYCNの消失は転写の全体的低下につながり、この低下は、エンハンサーでの占有が多いMYCN標的遺伝子において著しかった。エンハンサーでの占有が高度なMYCN標的遺伝子は、組織特異的発現を示し、患者の生存不良に関連した。MYCNによる占有が見られるエンハンサーを持つ遺伝子の活性は、組織特異的転写因子TWIST1に依存しており、このTWIST1は、MYCNと共にエンハンサーを占有し、MYCN依存性の増殖に必要であった。これらのデータから、高度に腫瘍特異的な「MYC標的遺伝子シグネチャー」は組織特異的エンハンサーにより規定されることが多いこと、また、MYCNエンハンサー調節軸の破壊が神経芽細胞腫の治療戦略として有望であることが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度