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てんかん:良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんにおけるイントロン内のTTTCAおよびTTTTA反復配列伸長
Nature Genetics 50, 4 doi: 10.1038/s41588-018-0067-2
てんかんはよく見られる神経症状であり、単一遺伝子の異常によって生じるてんかんの原因として頻度が高いのは、イオンチャネルや神経伝達物質受容体をコードする遺伝子の変異による疾患である。本研究では、SAMD12のイントロン4におけるTTTCAおよびTTTTA反復配列の異常な伸長が、良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)を引き起こすことを明らかにした。1分子リアルタイムシーケンス法によるBACクローンの塩基配列解析、およびナノポアシーケンス法によるゲノムDNAの塩基配列解析により、SAMD12内に2種類のパターンの反復配列の伸長が存在することを見いだした。興味深いことに、臨床的にBAFMEと診断されているが、SAMD12には反復配列伸長が認められなかった2家系では、TNRC6AならびにRAPGEF2のイントロンに、同様のTTTCAおよびTTTTA反復配列伸長が見いだされた。これは、反復配列の伸長が存在する遺伝子に関係なく、同じ反復配列モチーフの伸長がBAFMEの病態機序に関与することを示している。今回の知見は、非コード領域の反復配列の伸長が神経細胞の機能障害を引き起こし、振戦様ミオクローヌスやてんかん発作の原因になることを明らかにしており、このような反復配列伸長によって引き起こされる疾患の理解を広げるものである。