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DNAメチル化:後期複製ドメインのDNAメチル化の消失は有糸分裂に関係する
Nature Genetics 50, 4 doi: 10.1038/s41588-018-0073-4
DNAメチル化の消失はがんゲノムでしばしば見られ、主に、部分的メチル化ドメイン(PMD)と呼ばれる、後期に複製するラミナ結合領域内に起こることが多い。本論文では、全ゲノムバイサルファイト塩基配列決定法(WGBS)を用いて、39のさまざまな原発性腫瘍、およびそれと対応する8の隣接組織のプロファイリングを行い、さらにこれらのデータを、343のヒトおよび206のマウスのWGBSデータセットと共に解析した。その結果、PMDの優先的低メチル化に関連する局所のCpG塩基配列文脈(context)が突き止められた。この文脈(「solo-WCGW」と命名した)でのCpGを解析したところ、健康な組織タイプのほぼ全てにおいて、これまでに検出されていなかったPMDの低メチル化が同定された。PMD低メチル化は、胎児発生過程で開始し、加齢とともに上昇しており、細胞分裂の累積をたどっているように見えた。がんでは、PMD低メチル化の程度は、体細胞変異密度や細胞周期遺伝子発現と相関し、その有糸分裂の履歴を反映することから、有糸分裂時計として利用できると考えられた。我々は、後期の複製が、生涯にわたって徐々にメチル化を消失させており、これが細胞老化のバイオマーカーとして機能して、発がんに関与する可能性があることを提唱する。