Analysis

遺伝子発現解析:特異的発現をする遺伝子の遺伝率の濃縮から、疾患に関与する組織や細胞タイプを明らかにする

Nature Genetics 50, 4 doi: 10.1038/s41588-018-0081-4

本論文では、ゲノムワイド関連研究(GWAS)の要約統計量と共に遺伝子発現データを解析することで、疾患に関与する組織や細胞タイプを同定する手法を紹介する。我々は、ある組織に特異的に高発現する遺伝子について、その両側の領域に疾患の遺伝率が濃縮されているかどうかを、層別化連鎖不平衡(LD)スコア回帰を用いて検討した。この手法を、いくつかの情報源から得た遺伝子発現データと48の疾患や形質についてのGWAS要約統計量に適用することで(平均N = 169,331)、34の形質について有意に組織特異的な濃縮〔偽発見率(FDR) < 5%〕が見つかった。多数の組織について解析したところ、広範な組織特異的濃縮が検出され、既存の生物学的知見が再現されていた。脳特異的解析では、有意な細胞特異的濃縮として、双極性障害については興奮性ニューロンよりも抑制性ニューロンでの濃縮が、また、統合失調症やボディマス指数については、抑制性ニューロンよりも興奮性ニューロンでの濃縮が見られた。これらの結果から、多数の遺伝子を対象とする我々の手法が、遺伝子発現データを用いてGWASシグナルを解釈する上で非常に有効であることが実証された。

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