Analysis
複雑形質と負の選択:ヒト複雑形質の遺伝的構造における負の選択のシグネチャー
Nature Genetics 50, 5 doi: 10.1038/s41588-018-0101-4
我々はベイズ混合線形モデルを開発し、ゲノムワイドの一塩基多型(SNP)データを用いて、通常は血縁関係のない個人間の複雑形質に対し、SNPに基づく遺伝率、多遺伝子性(ノンゼロ効果を持つSNPの割合)、およびSNP効果量とマイナー対立遺伝子頻度間の関係を同時に見積もった。この手法をUKバイオバンクのデータ(N = 126,752)中の28の複雑形質に適用したところ、平均で6%のSNPがノンゼロ効果を持つことが明らかになった。これにより、合計で22%の表現型分散について説明できる。我々は生殖や循環器系の形質、体の計測形質に学業成績を含む23の形質に関する遺伝的構造の中に、明らかな自然選択のパターン(シグネチャー)を検出(P < 0.05/28)した。複雑形質中の効果量とマイナー対立遺伝子頻度との関係に見られる今回の有意な推定結果は、負の(もしくは純化)選択モデルと一致しており、順シミュレーションにより検証済みである。我々は、負の選択はヒトの複雑形質に関連する遺伝的バリアントに広範囲に作用すると結論付ける。