Analysis
全ゲノム解読による関連研究:全ゲノム配列解読に基づく関連研究の解析方法と自閉症スペクトラム障害への応用
Nature Genetics 50, 5 doi: 10.1038/s41588-018-0107-y
タンパク質コード領域中に見られるありふれた変化あるいは希少な変化に関するゲノム規模の関連研究は、多重検定を構成するロバストな統計手法を複数確立している。本論文では、全ゲノム塩基配列決定(WGS)から得られた配列に関して、希少な非コード一塩基バリアント、de novoの非コード一塩基バリアント、挿入/欠失、および全クラスの構造バリエーションを評価するための比較解析手法を示す。まず、ヌクレオチド、遺伝子、調節領域のレベルのゲノム注釈を統合することで、5万1801の注釈カテゴリーを定めた。519の自閉症スペクトラム障害家系の解析に関して、試験が有効な水準に達しているかどうかで補正した後の4123の試験では、どのカテゴリーとの関連も見つからなかった。適切な補正を行わないと、生物学的にもっともらしい関連が症例および対照の両方で観察された。遺伝子を壊すような既知の変異を除外した場合でも、コード領域に最も強い関連が見られた。従って自閉症では、de novo非コード領域のバリアントの関与はおそらくde novoコード領域のバリアントの関与よりも小さい。我々は、今後のWGS研究からロバストな結果を得るには、大きなコホートや、大規模な多重検定を行える包括的な解析戦略が必要になると考える。