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がん:3′ UTR短縮はceRNAのクロストークの破壊により腫瘍抑制遺伝子をトランスに抑制する
Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0118-8
選択的ポリアデニル化を介する広範囲のmRNA 3′ UTR短縮は、in vivoの腫瘍増殖を促進する。一般的な仮説では、このような短縮により、マイクロRNAによる抑制が回避され、がん原遺伝子の発現がシスに誘導される。本論文では、腫瘍抑制遺伝子に対抗するceRNA(competing-endogenous RNA;競合内因性RNA)としての機能が予測される転写産物に、3′ UTRの短縮が驚くほど豊富に見られることを報告する。3′ UTR短縮のトランス効果についての我々のモデルに基づいた解析(MAT3UTR)から、このトランス効果がceRNA発現の変化において重要な役割を果たしていることが明らかになった。3′ UTR短縮のトランス標的の多くがMAT3UTRにより予測され、そのうちの1つである重要な腫瘍抑制遺伝子PTENは、EPS15やNF1Aを含む9つの3′ UTR短縮遺伝子とceRNAのクロストークに関与していることが示唆された。3′ UTR短縮のマスター調節因子であるNUDT21をノックダウンすると、PHF6やLARP1といった腫瘍抑制遺伝子がmiRNA依存的にトランスに抑制された。まとめると、我々の解析結果から、3′ UTR短縮の重要な役割は、がん原遺伝子をシスに誘導することではなく、ceRNAのクロストークを破壊することによって腫瘍抑制遺伝子をトランスに抑制することだと示唆された。