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喘息とアレルギー疾患:英国バイオバンクのゲノムワイドな形質間解析から喘息とアレルギー疾患に共有される遺伝的構造が明らかになる

Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0121-0

臨床データや疫学データから、喘息とアレルギー疾患には関連があることが示唆され、また、両疾患に共通の遺伝的病因機序が含まれる可能性が考えられる。本論文では、英国バイオバンクのヨーロッパ系の人の症例3万3593例と対照7万6768例において、喘息とアレルギー疾患のゲノムワイドSNPデータを解析した。追試には、公開されていて利用可能な2つの独立したゲノムワイド関連研究を用いた。その結果、喘息とアレルギー疾患の間には、ゲノムワイドで強力な遺伝的相関があることが分かった(rg = 0.75、P = 6.84 × 10−62)。形質間解析(cross-trait analysis)から、ゲノムワイドな有意水準に達する38座位が突き止められ、そのうちの7つは新規の共有座位であった。また、コンピューター解析から、共有される遺伝的座位は免疫・炎症系や上皮細胞を持つ組織に豊富に存在することが示された。我々の研究は、喘息とアレルギーの間に共有される共通の遺伝的構造があることを明らかにしており、喘息とアレルギー疾患が併発する原因となる分子機構の理解を深めるのに役立つと考えられる。

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