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ミスセンス変異:インタラクトーム撹乱法を用いた発達障害に寄与するミスセンス変異のランク付け
Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0130-z
疾患関連ミスセンス変異の同定は、特に大規模な塩基配列決定研究において、依然として課題である。本研究では、ヒトの相互作用ネットワークに対してミスセンス変異が機能的にどのような影響を及ぼすかを調べるための、実験と計算による統合的アプローチを開発したので報告する。このアプローチを試験する目的で、自閉スペクトラム症発端者およびその非罹患同胞から同定された約2000の新生ミスセンス変異の解析に開発した手法を応用した。相互作用を阻害する新生ミスセンス変異は、自閉スペクトラム症発端者により多く見られ、主にハブタンパク質に影響を及ぼし、自閉スペクトラム症発端者と非罹患同胞を比較した場合、ハブ相互作用のうちの有意に高い割合が自閉スペクトラム症発端者で阻害されていた。加えて、こうした新生ミスセンス変異は、自閉スペクトラム症との関連がこれまでに示されている遺伝子が関わる相互作用を阻害する傾向が高いことが認められた。このアプローチは、すでに同定された関連を裏付ける補完的な情報を提供し、新しい関連遺伝子の発見を促進する。さらに、6つの疾患に関する新生ミスセンス変異のデータを解析することにより、本研究で示したインタラクトーム撹乱法が、ヒト疾患のリスクに寄与するミスセンス変異の同定とランク付けのための汎用の方法となり得ることが実証された。