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核小体:MiCEEはエピジェネティックなサイレンシングと核小体形成を仲介するncRNA–タンパク質複合体である
Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0139-3
真核生物ゲノムの大部分は非コードRNA(ncRNA)に転写される。ncRNAはクロマチン構造を制御することで異なる核過程を調節する重要な因子である。しかし、ncRNAの機能は完全には明らかになっていない。本論文では、マイクロRNAであるMirlet7dが、両方向に転写される遺伝子の重要な調節因子として機能することを明らかにする。核のMirlet7dはこれらの遺伝子から発現するncRNAに結合することが分かった。Mirlet7d–ncRNAの二本鎖にはさらにC1Dが結合して、これらがRNAエキソソーム複合体とポリコーム抑制複合体2(PRC2)を、両方向の転写活性がある座位に標的化する。エキソソームはncRNAを分解する一方、PRC2はEZH2を介してヘテロクロマチン形成や転写サイレンシングを誘導する。多くの構成要素からなるこのRNA–タンパク質複合体(MiCEEと命名)は、これが調節する遺伝子を核小体周辺領域に繋留することから、核小体構成の適切な構築に必須である。我々の研究から、MiCEE複合体が両方向から発現する遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングや全体的なゲノム構成を仲介していることが実証された。