Technical Report
遺伝子型判定:バリアントグラフを用いることにより、バリアントの分類や長さにかかわらず正確な遺伝子型判定が行える
Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0145-5
ショートリード塩基配列決定法による遺伝子型の推定は、通常は一次元的な参照配列へのリードのアラインメントに基づいている。しかし、より複雑なバリアント(例えば構造バリアント)に由来するリードは、しばしばアライメントがうまくいかず、結果として偏った遺伝子型の推定をもたらす。この偏りを軽減するには、まず初めに発見手法、個人、データベース横断的に一連のバリアント候補を収集し、その後にリードをバリアントとリファレンス配列へ同時にもう一度アライメントすればよい。しかしながら、再アライメントは、計算科学的に処理が困難な問題をもたらすことが証明されている。そこで今回、我々は新しい手法(BayesTyper)について紹介する。BayesTyperは、変異(バリアント)スペクトル横断的に偏りのない確率論的な遺伝子型判定を効率的に行うため、リードのk-merを参照配列とバリアントのグラフ表現へ厳密にアライメントする。さまざまな発見手法によるバリアントや個人間のバリアントを統合しようとしたとき、BayesTyperは一般的に、バリアントの感受性および遺伝子型判定の正確さにおいて既存手法よりも優れていることを本研究は実証している。最後に、既知のバリアントを収集した「variation-prior」データベースを取り入れると感受性が大幅に向上することを明らかにしたことを付け加える。