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ゲノム編集:ヒト細胞においてCRISPR–Cas9ゲノム編集はファンコーニ貧血経路を介して起こる

Nature Genetics 50, 8 doi: 10.1038/s41588-018-0174-0

CRISPR–Cas9ゲノム編集は、標的とする部位にDNA二本鎖切断(DSB)を作り出す。この過程は、一本鎖鋳型修復(SSTR)を介した外因性DNAの取り込みなどの、細胞の修復経路を通して処理される。本論文では、ヒト細胞においてSSTRがどのような遺伝的機構で起こるのかを明らかにするための解析を行った。すなわち、数千の遺伝子をそれぞれノックダウンし、その編集結果を効率よく調べるための、ノックダウンと切断を組み合わせた系を開発した。解析の結果、ヒトのCas9誘発性SSTRには、ファンコーニ貧血(FA)経路が必要であることが分かった。この経路は通常、鎖間架橋の修復に関与している。FA経路は、エラーが起こりやすい非相同末端結合の過程に直接影響するのではなく、修復をSSTRに向ける働きに関与する。また、FANCD2タンパク質がCas9誘発性のDSBに局在することが明らかになり、FANCD2がゲノム編集を調節する直接的役割を持つと考えられた。FA自体が遺伝的疾患であるので、これらのデータから、患者の遺伝子型やトランスクリプトームが遺伝子編集治療の有効性に影響を及ぼす可能性や、また、FA修復経路に重きを置いた治療が有効な可能性が示唆された。

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