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注意欠如・多動性障害:ゲノム規模レベルで有意な注意欠如・多動性障害リスク座位の最初の発見
Nature Genetics 51, 1 doi: 10.1038/s41588-018-0269-7
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、遺伝的に継承されることの多い小児行動障害であり、その有病率は小児で5%、成人では2.5%である。ADHDに対する感受性にはありふれた遺伝的バリアントが大きく寄与しているが、ADHDと明確な関連を示すバリアントはこれまで見つかっていなかった。本論文では、ADHDと診断された患者2万183人および対照3万5191人についてのゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタ解析を行い、ゲノム規模での有意性を満たす12の独立した座位においてバリアントを同定するとともに、ADHDの基盤をなす生物学に関する重要な新知見を得たので報告する。同定された関連バリアントは、進化的な制約を受けているゲノム領域で、機能喪失変異を許容しない遺伝子、あるいは脳で特異的に発現している制御配列の近傍に集中している。これらの発見は3つの集団における再現解析(ADHDと診断された患者のコホート、自己評定に基づくADHD患者群、および集団中のADHD徴候の定量的測定のメタ解析)の結果からも支持されたが、学歴との遺伝学的な重なりについては解析ごとに異なる結果が得られた。集団におけるADHD徴候の定量的測定はGWASの結果と強く合致しており、臨床的にADHDと診断される症例が、連続的な遺伝形質発現の極端な場合であることを支持している。