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大腸がん:大腸がんの高頻度ならびに希少な遺伝的リスクバリアントの発見
Nature Genetics 51, 1 doi: 10.1038/s41588-018-0286-6
大腸がん(CRC)の遺伝学的基盤のさらなる究明を目的として、症例1439例および対照720例の全ゲノム塩基配列決定を実施した。そこで発見した配列バリアントならびにHaplotype Reference Consortiumによる参照パネルのバリアントを、症例3万4869例および対照2万9051例からなるゲノムワイド関連解析データを用いて解析することにより、関連を検証した。発見された結果はさらに、症例2万3262例および対照3万8296例のデータを用いて解析を進めた。強い保護的効果を持つ頻度0.3%のバリアントシグナルがCHD1に検出された。計12万5478人を対象とした統合的なメタ解析の結果、40の独立した新規シグナルが同定され(P < 5 × 10−8)、CRCとの関連を有する既知の独立シグナルの数はおよそ100となった。新規シグナルは低頻度バリアント、Krüppel様因子、Hedgehogシグナル伝達経路、Hippo-YAPシグナル伝達経路、長鎖ノンコーディングRNA、および体細胞ドライバー変異に関係したものであり、また免疫機能への関与を支持している。遺伝率解析の結果から、CRCのリスクは高度に多遺伝子性であることが示唆される。より大規模かつ包括的な研究によってレアバリアントを解析できるようになれば、リスクの基盤をなす生物学的過程に関する理解をさらに深め、個人化スクリーニング戦略や薬剤開発に役立てることが可能となるだろう。