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RNA修飾:生殖細胞系列のNPM1変異はrRNA 2′-O-メチル化を変化させて先天性角化異常症を引き起こす
Nature Genetics 51, 10 doi: 10.1038/s41588-019-0502-z
RNAの修飾は、遺伝子発現の重要な決定要因であることが明らかになってきた。しかし、それらがヒト疾患に関連することを示す説得力のある遺伝学的証明はまだない。本研究では、リボソームRNAの2′-O-メチル化(2′-O-Me)が先天性角化異常症の病因と関係することを見いだしたので報告する。我々は、ヌクレオフォスミン(NPM1)が、C/Dボックス核小体低分子RNAへ直接結合して、rRNAに対する2′-O-Meの必須調節因子として働き、その結果、翻訳を調整することを明らかにした。また、細胞の成長や分化、骨髄性幹細胞の維持に対して、2′-O-Meにより調節される翻訳の重要性を実証するとともに、成体の骨髄性幹細胞におけるNpm1の不活性化が骨髄不全を引き起こすことを明らかにした。さらに、骨髄不全を伴う先天性角化異常症患者においてNPM1の生殖細胞系列変異を特定し、これらのNPM1変異では、核小体低分子RNAへの結合が損なわれていることを証明した。先天性角化異常症型のNpm1生殖細胞系列変異を持つマウスでは、先天性角化異常症の血液学的および非血液学的性質の両方が再現された。このように我々の知見は、2′-O-Meの異常がヒト疾患の原因となり得ることを示している。