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植物病害:トウモロコシのZmFBL41遺伝子の自然変異により紋枯病抵抗性が付与される
Nature Genetics 51, 10 doi: 10.1038/s41588-019-0503-y
紋枯病菌Rhizoctonia solaniは広く分布する植物病原体であり、トウモロコシにトウモロコシ紋枯病、イネにイネ紋枯病を引き起こす。本論文で我々は、トウモロコシのゲノムワイド関連解析により、トウモロコシに紋枯病抵抗性を付与できるF-boxタンパク質(ZmFBL41)を同定した。ZmFBL41を過剰に発現させたイネでは、紋枯病菌に対する感受性の上昇が認められた。ZmFBL41遺伝子に特定のアミノ酸2個が置換される変異が生じると、ZmFBL41とモノリグノール生合成経路の最終反応を触媒する酵素ZmCADとの相互作用が妨げられ、ZmCADの分解が阻害される結果、リグニンが蓄積され、病斑の拡大が抑制される。イネにおけるZmCADのホモログ遺伝子であるOsCAD8Bをノックアウトしたイネでは、紋枯病菌に対する感受性が上昇した。本研究の結果により、紋枯病菌は宿主のプロテアソームを標的にし、植物細胞に侵入するために植物細胞壁の二次代謝を変化させることにより感染感受性を上昇させるという機構が明らかになった。さらに重要なことは、本研究で得られた知見により、異なる植物種でも紋枯病菌抵抗性品種を作出できる機会が得られたことである。