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免疫:さまざまなヒト免疫細胞における刺激応答性クロマチンの全体像
Nature Genetics 51, 10 doi: 10.1038/s41588-019-0505-9
免疫系というものの特徴の1つは、特殊な免疫細胞型が静止状態と刺激された状態の間を移行して相互作用することである。この動的な系の遺伝子調節の全体像は、ヒト細胞では十分に解明されているわけではない。本論文では、最大32種類の免疫細胞集団について、その静止状態と刺激状態に関して、ATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin using sequencing)およびRNA塩基配列決定という2種類の配列解読を行ってデータを収集した。刺激を与えると、広範なクロマチンリモデリングが引き起こされ、その中には、刺激されたB細胞とT細胞の間で共通の応答配列も含まれていた。さらに、いろいろな細胞型由来の刺激応答配列において、いくつかの自己免疫形質は有意な遺伝率を示し、このことから、これらの細胞状態が自己免疫において重要であることが明らかになった。対立遺伝子特異的な読み取りリードのマッピングから、特定の状態でクロマチンへの接近可能性を変化させるバリアントを確認することができ、静止細胞での従来の大規模研究では検出されえない原因バリアント候補のエビデンスとなる機能を知ることができた。我々の結果から、クロマチン動態の情報源が示され、また、刺激された細胞において遺伝的多様性の影響を解明する必要性が明らかになった。