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スイカ:栽培種および野生種スイカ414アクセッションの塩基配列再決定により果実の品質形質の選択の痕跡を検出
Nature Genetics 51, 11 doi: 10.1038/s41588-019-0518-4
甘いスイカの果実形質は主として人為選択の結果、形成されたものである。本論文で我々は、改善されたスイカ参照ゲノム配列、およびCitrullus属の全現存種を代表する414アクセッションの全ゲノム塩基配列再決定結果を報告する。集団ゲノミクス解析により、Citrullus属の進化の歴史が明らかになり、Citrullus amarus(シトラスメロン)の系統と、Citrullus lanatus(スイカ)やCitrullus mucosospermusを含む系統とは、それぞれ独立に進化してきたことが示唆された。また本研究で得られた知見により、種分化、栽培化、品種改良のそれぞれの過程で、スイカの果実の大きさに影響を与える種々の異なる遺伝子座が選択されてきたことが示された。甘いスイカの祖先種に生じた、苦みのない味になる対立遺伝子については、C. lanatus種では広く固定されていることが明らかになった。果肉の甘さを追求する選抜は、C. lanatusの祖先種に始まり、ラフィノースの異化や糖輸送の制御に関わる遺伝子座についての現代の育種に至るまで、継続して行われている。果肉の着色と糖の蓄積は、糖輸送体遺伝子などの共通の遺伝要素の進化を通じて共進化した可能性がある。本研究は、有用なゲノム資源を提供するとともに、スイカの種分化と育種の歴史の解明に役立つものだ。