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統合失調症:東アジアおよびヨーロッパの集団における統合失調症の遺伝学構造の比較
Nature Genetics 51, 12 doi: 10.1038/s41588-019-0512-x
統合失調症は世界的に約1%の生涯リスクを伴う消耗性精神疾患である。これまでに報告されている統合失調症の大規模な遺伝学的研究は、主にヨーロッパ系の集団を対象としたものであり、重要な生物学的知見を見逃している可能性がある。ここでは、東アジアの人を対象としたこれまでで最大規模の研究(統合失調症患者2万2778人、対照3万5362人)を報告する。その結果、ゲノムワイドに有意な関連が19の座位から合計21個検出された。統合失調症のリスクをもたらすありふれた遺伝的バリアントは、東アジアとヨーロッパ系の集団でよく似た効果を示し(遺伝的相関 = 0.98 ± 0.03)、統合失調症の遺伝学的基盤とその生物学がさまざまな集団間で共通していることを示している。固定効果モデルを用いて東アジアとヨーロッパ系の集団を対象とした研究を統合したメタ解析では、合計208の有意な関連が176の座位(そのうち53が新規座位)から検出された。祖先集団横断的に行ったファインマッピングにより、44の座位で原因バリアント候補の数を絞り込むことができた。ポリジェニックリスクスコアは、複数の祖先集団間で転移すると予測精度が低下した。このことは、幅広い集団に有効なポリジェニックリスクスコアを開発する際に、主要な祖先集団からそれぞれ十分な数のサンプルを集めることが重要であることを示している。