Article

スーパーエンハンサー/横紋筋肉腫:横紋筋肉腫ではヒストンの過剰なアセチル化が遺伝子の中心的調節構造を破壊する

Nature Genetics 51, 12 doi: 10.1038/s41588-019-0534-4

中心的調節転写因子(CR TF)群は、スーパーエンハンサーの配置を調整することによって、細胞のアイデンティティーを決める遺伝子ネットワークの転写を活性化する。これらの転写因子は、がん化においても非常に重要な働きをするとされている。今回我々は、横紋筋肉腫の中心的調節回路を明らかにし、それに必須のCR TF依存性を特定した。これらのCR TFは、ヒストンアセチル化レベルの最も高いスーパーエンハンサーを構築するが、これと矛盾することに、同じスーパーエンハンサーにヒストンデアセチラーゼが最も多く存在していた。また、過剰アセチル化が、選択的にCR TFの転写を停止させることが明らかになった。我々はAQuA(absolute quantification of architecture)HiChIPを用いて、この表現型の構造的な決定要因を調べ、本来のSE接触が減衰することと、接触の異常な拡張(ヒストンアセチル化を含む)が起こることを見いだした。過剰アセチル化は、RNAポリメラーゼII(RNA Pol II)を中心的調節遺伝子エレメントから外し、RNA Pol IIの相凝集体を除去したが、BRD4の相凝集体は除去されなかった。本研究は、ヒストン修飾状態のバランスを調整してSE構造とCR TFの転写を維持するための、SE特異的な必要条件を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度