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調節配列/CRISPR:何千回ものCRISPR操作に基づくエンハンサー–プロモーター調節についてのABC(activity-by-contact)モデル
Nature Genetics 51, 12 doi: 10.1038/s41588-019-0538-0
ヒトゲノムのエンハンサー配列は、遺伝子が特定の細胞種でどのように発現するかを制御している。エンハンサー配列には何千もの遺伝的バリアントが含まれるが、それらはありふれた疾患のリスクに影響を及ぼす。しかし、エンハンサーが特定の遺伝子を調節する仕組みはいまだ解明されておらず、また、エンハンサーと遺伝子の関係を予測する細胞種横断的な規則は見つかっていない。本論文では、ゲノムのエンハンサーを妨害する実験的手法であるCRISPRi–FlowFISHを開発し、30遺伝子が関与する3500を超えるエンハンサー–遺伝子関係候補に適用することで検討した。我々のCRISPRデータセットに含まれる複雑なエンハンサー–遺伝子関係の予測においては、単純なABC(activity-by-contact)モデルが、これまでの方法よりも格段に優れていることが分かった。このABCモデルを用いると、クロマチン状態の測定値に基づいて、特定の細胞種にけるエンハンサー–遺伝子関係を示すゲノム規模のマップを作成できる。まとめると、CRISPRi–FlowFISHとABCモデルは、どのエンハンサーがどの遺伝子を調節するかの予測とマッピングを体系的に行える手法であり、また、ゲノムの非コード配列に含まれる何千もの疾患リスクバリアントの機能を解釈するのにも役立つだろう。