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遺伝統計:SumHerは要約統計量から複雑形質のSNP遺伝率をよりよく推定する
Nature Genetics 51, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0279-5
本論文では、ゲノムワイド関連解析の要約統計量を用いて、交絡バイアス、SNP遺伝率、遺伝率の濃縮、および遺伝的相関を推定するソフトウエアであるSumHerについて報告する。SumHerと既存のソフトウエアであるLDスコア回帰(LDSC)の重要な違いは、SumHerではユーザーが遺伝率モデルを指定できることである。我々が推奨する遺伝率モデルを用いて、24の大規模な関連解析(平均標本数12万1000)の結果にSumHerを適用した。このような大規模な研究は交絡をかなり過剰に修正する傾向があり、その結果として、ゲノム規模の水準で有意な座位の数は約1/4少なく報告されていたことが分かった。また、機能的アノテーションで特定された24のSNPカテゴリーについて、エンリッチメント解析を行った。LDSCを用いたこれまでの研究では、保存された領域のカテゴリーには13倍の濃縮が見られることが報告されており、3倍を超える濃縮を示すカテゴリーがさらに6つ見つかっていた。これに対して、SumHerを用いた我々の解析では、2倍を超える濃縮が見られるカテゴリーは存在しないことが分かった。SumHerは複雑形質の遺伝的構造の理解を向上させ、今後の遺伝学的データのより効率的な解析を可能にすると考える。