Letter

ワタ:ワタの異質4倍体栽培種Gossypium hirsutumGossypium barbadenseのゲノム参照配列

Nature Genetics 51, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0282-x

異質4倍体のワタの2種(Gossypium hirsutumGossypium barbadense)は、天然の織物繊維として持続可能な資源であり、古くから広く世界中で栽培されてきた。両種のゲノムの概要配列は公開されているが、高度に断片化された不完全なものである。我々は、単一分子リアルタイム(SMRT)塩基配列決定、BioNano光学マッピング、および染色体の立体構造を明らかにするHi-C解析を組み合わせ、栽培品種G. hirsutumのアクセッションTexas Marker-1(TM-1)とG. barbadenseのアクセッション3–79について、参照配列レベルの精度を持ったゲノムアセンブリーおよびアノテーションを得たので報告する。今回のゲノム配列は、すでに報告されているゲノム概要配列と比較すると、セントロメアなどの反復配列を多く含む領域における連続性と完成度が大きく向上している。比較ゲノム解析を行ったところ、多くの構造的な多様性があることが明らかになった。これらの多様性は、おそらくは多倍数化が起こった後で生じたもので、26本の染色体のうち14本には大きな偏動原体逆位(腕内逆位)や挟動原体逆位(腕間逆位)が認められた。我々は、G. barbadense由来の好ましい染色体断片をG. hirsutumに導入した、遺伝子移入系統群を作製した。これにより、優れた繊維品質に関連する13の量的形質座位を同定することができた。これらのゲノム資源は、ワタゲノムの進化研究や機能研究を加速させ、今後、繊維品質の向上を目指す品種育成に役立つであろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度