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変形性関節症:英国バイオバンクデータを用いたゲノムワイド解析による変形性関節症の新しい治療標的の特定
Nature Genetics 51, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0327-1
変形性関節症は、最もよく見られる筋骨格疾患で、世界的に身体障害の主な原因である。本論文では、変形性関節症のゲノムワイド関連解析を行い(症例7万7052例および対照37万8169例)、4つの表現型(変形性膝関節症、変形性股関節症、膝および/あるいは股の変形性関節症、全ての変形性関節症)について解析した。64のシグナルが見いだされ、そのうちの52は新規のシグナルであり、確立された疾患座位の数が2倍以上になった。6つのシグナルについては詳細なマッピングにより単一のバリアントが突き止められた。発現量的形質座位(eQTL)の共局在、詳細なマッピング、ヒトのまれな疾患、動物モデル、および骨関節炎組織発現データを統合することで、エフェクター遺伝子を推定した。エンリッチメント解析により、単一遺伝子型の骨発達障害の原因遺伝子と、コラーゲン形成や細胞外マトリックス構成に関与する生物学的経路に濃縮が見られた。TGFB1(トランスフォーミング増殖因子β1)、FGF18(繊維芽細胞増殖因子18)、CTSK(カテプシンK)、IL11(インターロイキン11)などの10の有望なエフェクター遺伝子は、医薬品として承認されているか、あるいは臨床試験中であり、変形性関節症における有効性評価のための作用機構が裏付けられている。