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アルツハイマー病:ゲノム規模のメタ解析によって、アルツハイマー病のリスクに影響を及ぼす新規座位および機能経路を同定
Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0311-9
アルツハイマー病(AD)は遺伝性が高く、最近の研究により20以上の疾患関連座位が同定されている。しかしながら、それらの座位により説明できるのは遺伝的分散のごく一部に過ぎず、未同定の座位が残っていることになる。本研究では臨床的に診断されたADならびに代理指標に基づくADについて、大規模なゲノムワイド関連解析を実施した(症例7万1880人、対照38万3378人)。代理指標によるAD(親の診断に基づく)は、ADとの強い遺伝的相関を示した(rg = 0.81)。メタ解析により、215の原因遺伝子候補に関係する29のリスク座位が同定された。関連遺伝子は免疫関連の組織および細胞(脾臓、肝臓、ミクログリア)で強く発現していた。遺伝子セット解析では、脂質関連経路やアミロイド前駆体タンパク質の分解に関係する生物学的機構との関連が示された。複数の健康関連指標との強い遺伝的相関が見いだされ、メンデルランダム化解析の結果からは、認知能力にはADのリスクに対する保護効果があることが示唆された。これらの結果は、ADのリスクを増大させる遺伝的要因を特定することへの行程を一歩前進させ、ADの神経生物学に新たな知見を付け加えるものである。