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肺疾患:新たに同定された肺機能の遺伝学的シグナルは複数の民族集団で生物学的経路および慢性閉塞性肺疾患との関連を示す
Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0321-7
肺機能低下は死亡の予測因子であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断の鍵となる。本研究ではヨーロッパ系の40万0102人を対象にしたゲノムワイド関連解析により、279の肺機能関連シグナルを同定した。そのうち139は新規のシグナルであった。これら全てのバリアントを考慮することで、複数の独立した集団におけるCOPDのリスクを、高い精度で予測できた。その予測効果は、喫煙者であるか喫煙未経験者であるかを問わず、また異なる民族集団においても広く有効であった。ここではCOPDに関係する生物学的経路と、既知のもしくは潜在的な薬物標的に焦点を当てて論じる。また、フェノーム規模の関連解析では、自己免疫疾患に対する効果など、肺機能関連バリアントの多面的効果を明らかにした。本研究で得られた新しい遺伝学的知見は、将来的にはCOPDの予防や治療の改善に役立つ可能性がある。