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腫瘍の進化:食道腺がん551例で起きた選択を包括的に調べ、臨床上有用なゲノムバイオマーカーを明らかにする

Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0331-5

食道腺がん(EAC)は予後の良くないがんで、その罹患率は急増している。EACの発生と進行を引き起こす遺伝的事象に対する知見は限られており、予後や治療に有効に働く既存の分子バイオマーカーはほんのわずかしか存在しない。今回、ゲノム配列が解析済みで、対応するRNA配列も配列決定されているEAC患者551人のコホートを用いて、EACのドライバー遺伝子を77個、および非コード領域に存在するドライバー配列を21個見いだした。その結果、ドライバーとなり得る遺伝的変化が腫瘍1つあたり平均4.4か所で起こっており、これらの変化は、コピー数変化よりも突然変異に由来することが多いと明らかになった。また、こういったドライバー変異の平均存在数を、非同義置換と同義置換の比(dN/dS)から計算した全エキソームの平均存在数超過と比較した。さらに、EACで調節異常を来しているいくつかの経路において、その経路内および経路間で、遺伝的変化が同時に起こっているのか、同時には起こり得ないのかを詳細に調べた。結果は、それぞれの経路の、機能上の強固な結び付きを示唆するものであった。また予後不良の予測因子(SMAD4GATA4)を、前記とは別のコホートにおいて有意な的中率で確認した。EAC患者の50%以上においては、CDK4阻害薬およびCDK6阻害薬に対する感受性を亢進させる遺伝的変化が起こっており、それはEACの細胞株やオルガノイドのパネルにおける臨床的意義のある薬剤感受性と高い相関を示した。

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