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体脂肪:タンパク質コード配列のバリアントを解析することにより、体脂肪分布を左右する脂質ホメオスタシスが明らかになる
Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0334-2
体脂肪分布は心血管系の健康に悪影響を及ぼすリスク因子である。本研究では5つの主要な民族集団に属する34万4369人(発見集団)およびヨーロッパ系の13万2177人(検証集団)を対象に、ボディマス指数で補正したウエスト・ヒップ比により評価される体脂肪分布と、22万8985個の推定コードバリアントならびにスプライス部位バリアントとの関連を、エクソームアレイのデータを使用して解析した。関連が検出された新規コードバリアントのうち、15個はありふれたバリアント(マイナー対立遺伝子頻度、MAF ≥ 5%)、9個は低頻度ないしまれなバリアント(MAF < 5%)であった。経路・遺伝子セットエンリッチメント解析で脂肪分布に寄与する重要な要因として同定されたのは、脂質粒子のサイズ、アディポネクチン、白色脂肪組織の生理学的異常、骨の発生学的・形態学的異常であった。一方、同定されたバリアントと複数の形質との関連解析では、心血管代謝形質との関連が示された。さらなる機能解析のために行ったショウジョウバエでのRNAiノックダウン実験では、2つの遺伝子(DNAH10とPLXND1)で、全身トリグリセリドレベルの有意な上昇が観察された。本研究は脂肪分布に影響を及ぼす新規遺伝子を報告すると同時に、低頻度のタンパク質コードバリアントを考慮することの重要性を強調している。