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不眠症:不眠症症状の遺伝学的解析から得られた生物学的ならびに臨床的な知見
Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-019-0361-7
不眠症は頻度の高い疾患で、長期的には有害な内科的・精神医学的転帰につながる。しかし、その基盤にある病態生理学的な過程や、その他の疾患との因果関係についてはよく分かっていない。本研究では、英国バイオバンクに登録された自己申告による不眠症症状に関する情報(n = 453,379)の解析により、57の関連座位を同定した。さらに、HUNT研究に登録された自己申告による不眠症症状の情報(症例1万4923人、対照4万7610人)、Partnersバイオバンクに登録された医師の診断による不眠症の情報(症例2217人、対照1万4240人)、英国バイオバンクの加速度センサーで評価した睡眠効率と睡眠時間の指標(n = 83,726)を用いて、それらの効果を検証した。我々の結果は、ユビキチンが介するタンパク質分解に関与する遺伝子、あるいは、脳のさまざまな領域や骨格筋、副腎で発現している遺伝子の関与を示唆している。頻度の高い不眠症症状との間に共通の遺伝的要因が存在する証拠が見いだされたのは、むずむず脚症候群、加齢、および循環器代謝・行動・精神医学的・生殖医学的形質であった。不眠症症状との間に因果関係が存在する可能性を示す証拠が見つかったのは、冠動脈疾患、うつ症状、主観的幸福感であった。