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マイクロバイオーム:消化管マイクロバイオーム、短鎖脂肪酸、および代謝性疾患の間に見られる因果関係

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0350-x

大規模コホートにおけるマイクロバイオーム規模の関連研究により、2型糖尿病(T2D)や肥満といった複雑な形質と消化管マイクロバイオームとの関連が示されているが、その因果関係の詳細はほとんど明らかになっていない。本研究では、ゲノム規模の遺伝子型判定、消化管メタゲノム塩基配列、および糞便中短鎖脂肪酸(SCFA)量のデータが得られる血糖値正常の952人からの情報を利用して、その情報を代謝形質や人体計測形質に関する17のゲノムワイド関連解析の要約統計量と統合した。これらを用いて、マイクロバイオームとの因果関係を双方向性メンデルランダム化(MR)試験によって評価した。その結果、SCFAのうちの酪酸について、宿主の遺伝的要因による腸管産生の増加が経口グルコース負荷試験時のインスリン応答性の高値と関連していることが見いだされた(P = 9.8 × 10−5)。一方、別のSCFAであるプロピオン酸の産生または吸収の異常については、T2Dのリスク上昇との因果関係が認められた(P = 0.004)。これらのデータは、消化管マイクロバイオームの代謝形質に対する因果関係の証拠を提供し、マイクロバイオーム規模の関連解析で得られた知見から因果関係を解明する手段としてMRを利用することの正当性を支持している。

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